「インボイス制度」適用開始間近!「区分記載請求書」との違いをご紹介
2023.03.16
2023年10月1日から「インボイス制度」を利用することで、消費税の仕入れ税額控除を受けることが可能になります。今回は、この新制度が事業者に及ぼす影響について紹介します。
そもそも、課税事業者が納税する消費税は、自社の売上に係る消費税額から仕入れ時にかかった消費税額を引いた差分を納付します。この仕組みのことを仕入れ税額控除といいます。
仕入税額控除を受けるためには「適格請求書」の保存が必要です。もし、インボイスを発行できない免税事業者との取引を継続するのであれば、消費税の負担が増えるのでご注意ください。
インボイスと「区分記載請求書等」の違い
仕入れ商品の消費税額控除を受けられるのは、インボイス(適格請求書)が発行された取引だけが対象です(インボイス(適格請求書)とは、売り手が買い手に正確な適用税率や消費税額等を伝えることをいいます)。
免税事業者であっても課税事業者と取引をする場合、区分記載請求書等の交付を求められる場合があります(「区分記載請求書」とは、「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータのことを指します)。
2019年10月から導入が始まった「区分記載請求書等保存方式」は、軽減税率の導入により消費税率10%と8%の複数税率が両方存在します。「区分記載請求書等保存方式」は2つの税率が混在しているため、従来の請求書や領収書などは商品ごとに税率確認が一目では判別できません。
今後、インボイス制度を利用して仕入税額控除の適用を受けるためには、取引を記録した「帳簿」と「請求書等」の保存が必要です。
この制度を利用することで、より正確に消費税の納付額を計算できるようになります。
インボイスの適用要件(売手・買手)
インボイス制度を利用する際の適用要件について、売手と買手それぞれについて、下記の通りまとめました。
売手(発行側)
・適格請求書発行事業者への登録
・買手から求められたときはインボイスを交付しなければいけない
・適格請求書発行の仕組みを整える
・発行した請求書の写しを保存する
買手(受領側)
・原則として登録事業者から交付を受けたインボイスの保存が必要になる
・取引先が適格請求書発行事業者か確認する
・登録番号の確認
・受領した適格請求書の確認
どちらの側に立つのかによって必要な諸手続きが変わりますので、今一度確認されることをお勧めします。
適用開始時期と経過措置期間の有無
インボイス方式の導入後は、一定の期間仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置期間があります。
区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等及びこの経過措置の規定の適用を受ける旨を記載した帳簿を保存している場合は次の期間が経過措置期間にあたります。
今後申請を検討される方は、上記のスケジュールを参考になさってください。
インボイス制度の影響
インボイス制度の適応可能企業は、さまざまな業種に及びます。
小売業においては、課税事業者と免税事業者については影響を受けます。
具体的にどのような影響があるのかを理解しておけば、制度施行前に適切な対処が可能です。消費税は納付せず、売上に係る消費税を請求するだけとなります。
そのため免税事業者は、売上に係る消費税額を利益としました。
インボイス制度開始後も免税事業者でいる場合は、得意先から販売価格の引き下げ要請や適格請求書事業者への登録要請などが行われる可能性があります。
登録番号がない免税事業者の派遣元と派遣契約を結んでいる派遣元は納税額が増えます。
また、免税事業者が課税事業者を選択することも可能ですが、消費税の納税義務が発生すると、2年間は免税事業者に戻れません。申請する際は、その点にも注意して判断する必要があります。消費税は法人税とちがい欠損金をだしても納付しなければいけない税金であるという点も併せてご確認ください。
まとめ
今後は、取引先を選ぶうえでインボイス登録事業者かどうかがカギになります。
自社で登録事業者に申請する必要や取引先が登録事業者に当てはまるのかを確認したうえで、消費税の負担が必要になるのかどうか事前に把握することが必要です。
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