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小売りの新しい収益モデル

2025.10.02

1. 導入:なぜ“新しい収益モデル”が注目されているのか

小売業はこれまで「商品を仕入れて販売し、その差額で利益を得る」というシンプルな仕組みで成り立ってきました。しかし現在は、市場環境が大きく変化しています。
人口減少による来店客数の減少、仕入コストや光熱費の高騰、最低賃金の上昇、消費者の購買行動はECへシフトするなど多様化しています。こうした中で、従来の「販売利益だけ」に依存するビジネスモデルは、持続的な成長が見込めなくなっています。
そこで注目されているのが、「販売以外の収益」を確保するモデルです。小売事業を基盤としながら、副収益を持つことで経営の安定性を高める動きが広がりつつあります。

2. 国内外で見られる収益モデルの事例紹介

(1)注目されている新しい収益モデル

リテールメディア事業

店舗内のデジタルサイネージやECサイトを「広告媒体」として活用する流れは海外で急速に広がり、日本でも追随する動きが出ています。特徴は、単に広告枠を売るのではなく、購買データや来店データと連動させてターゲティング広告を可能にする点です。「どのような顧客(客層)がどのようなタイミングで商品を買ったか」などのデータを活用し、従来よりも精度の高い広告を打てるため、出稿価値が高く、メーカー側の需要も強まっています。広告費が小売の新たな利益源となりつつあります。

物流インフラの外部提供(3PL)

「3PL」とはthird party logisticsの略で、サードパーティ配送とも呼ばれます。荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行することをいいます。
大手小売事業者は、自社の物流センターや共同配送網を外部に開放し、他業種の事業者に配送サービスを提供する取り組みを始めています。もともと自社効率化のために築いた物流基盤を「外販」する形で、新たな収益源としています。小売業にとっては施設の稼働率向上、外部事業者にとっては物流コスト削減となり、双方にメリットがあります。

BtoBtoCモデルの展開

近年は、デジタルツールやサービスを提供する企業とタッグを組んだ新しいBtoBtoCの形が広がっています。例えば、アパレル店舗では試着室にタブレットやRFIDタグを導入してその場で追加注文できる仕組み、AIによるパーソナルカラー診断によるおすすめ商品の提案で店舗回遊率を高める取り組み、インテリア小売ではARアプリを使って「自宅に家具を置いたイメージ」を体験できるサービスなどです。リアルな利用シーンとデジタル体験を融合させることで、利便性や楽しさを提供しながら、購入につなげるモデルが拡大しています。
このように、リアルな体験とデジタル技術を掛け合わせたBtoBtoCの取り組みは、小売業にとっても異業種連携や新しい顧客接点づくりの参考になる事例といえます。

(2)身近な収益モデル

リサイクル回収(缶・ペットボトル・食品トレー・古紙など)

店頭にリサイクルボックスを設置し、資源を回収する仕組みは広く普及しています。店舗側は回収した資源をリサイクルルートに乗せることで、新たな収益やコスト削減につながるほか、環境配慮の姿勢をアピールできる効果もあります。消費者にとっては「資源を持っていく場所」ができるため、来店動機が増え、ついで買いを促す効果も期待できます。

配送品受け取りロッカーの設置

店舗の一角に設置されるロッカーは、ネットで注文した商品を好きなタイミングで受け取れる便利な仕組みです。設置費用や管理はロッカー提供事業者が負担する場合が多く、店舗側は低コストで副収益を得られるのが特徴です。利用者が「ロッカーに寄るついで」に店内を回遊し、追加購買につながる効果も見られます。

ローカル広告の活用

店頭の掲示板やポスター掲示スペースを、近隣の学習塾やクリニック、不動産業者などに提供し、広告収入を得る例もあります。地域密着型の小売店舗にとっては、店舗自体が「街の広告媒体」として機能することで新たなニーズや収益を生み出せます。

地域連携サービス(高齢者見守りなど)

商店街や地域店舗が共通のポイントカードを導入し、買い物の履歴や来店頻度を活用して高齢者の安否確認につなげる仕組みがあります。たとえば、一定期間ポイント利用がない場合に声かけを行うといった取り組みです。直接の収益は小さいかもしれませんが、地域社会での役割を果たすことが店舗への信頼につながります。

3. 新しい収益モデルがもたらす可能性

こうした取り組みは、単に副収益を得るためだけではなく、経営や地域社会との関係においてさまざまな効果をもたらします。

売上の多角化による安定経営

販売利益だけに依存するリスクを下げ、景気変動や値上げ局面にも耐えやすくなります。

顧客接点の強化

リサイクル回収や配送ロッカーは、買い物以外でも「立ち寄る理由」を顧客に提供します。これが購買機会の増加や店舗ブランドへの信頼度・好感度向上につながります。

地域社会との協力関係の創出

広告スペースの提供や高齢者見守りサービスを通じて、店舗は「地域生活の一部」として認識されます。これは単なる売場以上の役割を担うことを意味し、結果的に安定した顧客基盤形成につながります。将来的に競合との差別化につながり、持続的な競争力を確保する要素になり得ます。

経営資源の有効活用

既存の店舗スペースや物流網を「販売以外の収益」に転換できます。たとえば、遊休スペースを広告掲示に使う、既存の物流網を配送サービスに利用するといった形です。新規投資が不要な点は企業規模感を問わず取り組みやすいと言えます

4. まとめ

新しい収益モデルは、大規模な投資を伴うものから、低コストで導入できる身近なものまで幅広く存在します。共通しているのは、「販売以外の収益」を得ることで、経営の安定性を高めつつ、顧客や地域社会との関係を強化できる点です。
こうした事例を知ることは、自社がすぐに実践するかどうかにかかわらず、将来の事業を考える上でのヒントになるのではないでしょうか。

 

 

 

 

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