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物流2024年問題に挑む小売業界、注目の先進事例とは?

2023.12.08

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2024年4月から、トラックドライバーの労働時間に上限が設定されます。これは、改正運送事業改善基準告示という法令によるものです。この法令の施行により、ドライバーの働き方が変わります。しかし、それだけではありません。物流業界全体にも大きな影響が出ます。物流業界は、ドライバーの不足やコストの増加という問題に直面することになります。この問題を「物流2024年問題」と呼びます。

物流2024年問題は、物流業界だけの問題ではありません。小売業や農林水産業、製造業など、物流に関わる多くの業界にも影響が及びます。政府は、この問題に対する対策を検討しています。3省(国土交通省・経済産業省・農林水産省)が共同で「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を設置しました。この検討会では、物流2024年問題を何もしないで放置した場合、どのような状況になるかを試算しました。その結果が以下です。

2024年:14.2%
2030年:34.1%

つまり、日本全体で約200万台相当のトラックが足りなくなるということです。このように、物流2024年問題は深刻な社会的課題として注目されています。

小売業に与える影響と対策は?

物流2024年問題は、小売業にも様々な影響を与える可能性があります。その中でも、特に大きいものは以下の3つです。

物流費の上昇

物流2024年問題に対応するために、物流業界は運賃値上げや人件費上昇などでコストを増やしています。例えば、ヤマト運輸や佐川急便は、2023年4月から約10%、約8%の運賃値上げを行いました。

このようなコスト増は、小売業界にも影響し、物流費が高くなります。物流費が高くなると、小売業界の利益率が下がります。そのため、消費者価格への転嫁や在庫管理の効率化などで、コスト増分をカバーする必要があります。

配送回数や納期の変更

物流2024年問題によって、ドライバーの労働時間が減ります。そのため、1日に運べる荷物の量も減ります。これは、小売業界の配送にも影響します。これまで決まっていた配送回数や納期を変えなければなりません。

例えば、コンビニやスーパーでは、配送回数を減らしたり、発注から納品までの時間を長くしたりしています。このような配送の変更は、小売業界の商品管理にも影響します。在庫量や品揃えを最適化するためには、需要予測や発注計画を精度よく行う必要があります。

物流サービスの見直し

物流2024年問題に対処するために、小売業界は物流サービスを見直す必要があります。これまで提供してきたサービスをやめたり、制限したりする必要があります。「翌日配送」や「時間指定配送」などのサービスをやめたり、制限したりする必要があります。これによって、再配達や返品などの対応が遅くなったり、できなくなったりする可能性があります。

このような物流サービスの低下は、小売業界の店舗運営にも大きな影響を与えます。顧客の満足度や忠誠度を維持するためには、新しい配送方法を導入するなど、物流サービスの革新が必要になるかもしれません。

最新情報と動向

物流2024年問題は、小売業界にとって重要な課題です。今後も情報を収集し、対策を考えていく必要がありそうです。以下では、物流2024年問題に関する各業界の対策事例をご紹介します。

物流業界の対策事例

物流業界では、物流2024年問題への対策として、様々な事例が見られます。

ドライバーの採用・育成・定着促進

ドライバー不足を解消するために、物流業界ではドライバーの採用・育成・定着促進に力を入れています。例えば、以下のような取り組みが行われています。

  • 女性・高齢者・外国人などの多様な人材の活用
  • ドライバーの給与や福利厚生の改善
  • ドライバーのキャリアアップやスキルアップの支援
  • ドライバー同士の交流やコミュニケーションの促進

デジタル技術やAIなどの活用

物流効率化を図るために、物流業界ではデジタル技術やAIなどを活用しています。

  • 配送ルートや荷積み順序の最適化
  • 配送状況や在庫情報の可視化や共有
  • ドローンや自動運転車などの無人配送システムの開発
  • ロボットやウェアラブルデバイスなどの作業支援機器の導入

共同配送やモーダルシフトなどの物流ネットワーク最適化

物流コスト削減や環境対策を目的として、物流業界では共同配送やモーダルシフトなどで物流ネットワークを最適化しています。

  • 競合他社や異業種との荷物の積み合わせや共有
  • トラックから鉄道や船舶などへの輸送手段の切り替え
  • 物流拠点や倉庫の集約や再配置

政府・行政の対策事例

政府・行政では、物流2024年問題への対策として、法令・制度整備や政策・戦略策定などを行っています。

労働時間規制や改正運送事業改善基準告示への適合支援

法令に適合するために、政府・行政は以下のような支援を行っています。

労働時間規制に対する例外措置や猶予期間の設定

  • 改正運送事業改善基準告示に対する説明会や相談窓口の設置
  • 物流業界のDX推進やイノベーション創出の支援

物流コスト削減や効率化への補助金・税

政府・行政は以下のような補助金・税を提供しています。

  • 物流施設や設備の整備や更新に対する補助金
  • 省エネ・低排出ガスなどの環境対策に対する補助金
  • 共同配送やモーダルシフトなどの物流ネットワーク最適化に対する補助金
  • 物流業界に特化した減税制度

物流ビジョン2030や物流基本計画などの中長期的な方向性

将来に向けて持続可能な発展を目指すために、政府・行政は以下のような方向性を示しています。

  • 物流ビジョン2030:物流業界が2030年までに目指すべき姿や目標を定めたビジョン
  • 物流基本計画:物流ビジョン2030を実現するための具体的な施策や計画を定めた計画
  • 国際物流の競争力強化やグローバルな連携の促進:海外市場への進出や国際協力などを推進する

どう対応する?小売業界の先進事例を紹介

この問題に対応するために、小売業界ではどのような対策を行っているのでしょうか?今回は、小売業界の先進事例を3つご紹介します。

物流委託先との協力体制の構築

委託先との協力体制を構築することで、物流費の上昇に対応しています。物流委託先との協力体制を築くための取り組みとして、下記の内容があります。

  • 運賃値上げに対する交渉や割引要求
  • 委託先の変更や複数社との契約
  • 委託先との情報共有や連携強化
  • 費用の共有化や共同購入

これらを行うことで、物流委託先との関係を良好に保ちながら、物流費を抑えることができます。

物流コストを反映した価格設定や商品開発

輸送費を反映した価格設定や商品開発を行うことで、物流費の上昇に対応しています。物流コストを反映した価格設定や商品開発とは、以下のようなものです。

  • 費用の高騰を消費者に転嫁するための価格改定や値上げ
  • コストを抑えるための商品サイズや重量の変更や簡素化
  • 物流費を節約できるような商品特性や機能の開発や改良

これらの取り組みにより、小売業界は、物流費の上昇による利益の減少を防ぎながら、消費者のニーズに応えることができます。

新しい配送方法の導入や配送情報の可視化

これまでとは違う配送方法の導入や配送情報の可視化を行うことで、物流サービスの低下に対応しています。新しい配送方法の導入や配送情報の可視化とは、以下のようなものです。

  • 自社で配送車両やドライバーを用意して、物流委託先に依存しない配送体制の構築
  • 宅配ボックスやコンビニなどの受け取り場所を設定して、再配達や時間指定のニーズに対応
  • オムニチャネルやBOPISなどの新しい販売方法を導入して、店舗とオンラインの連携を強化
  • リアルタイムで確認できるシステムやアプリの導入
  • 消費者や物流委託先と共有して、予測や計画に活用
  • 情報を分析して、需要変動に対応した最適な発注量や配送量を決定

配送回数や納期の変更に柔軟に対応しながら、物流2024年問題への対応が進んでいます。

まとめ

物流2024年問題は、小売業だけでなく様々な業界に影響を及ぼす恐れがあります。物流費の上昇や配送の不安定さは、物流サービスにも大きく影響します。物流2024年問題の最新情報と動向に注目し、対策を練る必要があります。

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