パーチェシングカードで小売業の購買業務を効率化する方法とは?メリット・デメリット・導入条件を徹底解説
2023.10.03
小売業では、商品やサービスの仕入れや販売促進に関する購買業務が欠かせません。しかし、購買業務には多くの課題があります。例えば、仕入先からの請求書の管理や支払いの手間、担当者の変更に伴う手続きの煩雑さ、不正利用や紛失・盗難のリスクなどです。これらの課題を解決する方法として、パーチェシングカードという法人カードを利用する方法があります。パーチェシングカードとは何か、そのメリットやデメリット、導入すべき小売業の条件などを紹介します。
購買業務に革命をもたらす法人カードの基礎知識
パーチェシングカードとは、物理的なカードを発行せずに、有効期限付きのカード番号を発行して使う法人カードのことです。特定の加盟店での決済に限定されており、購買活動専用のカードとして利用できます。パーチェシングカードは、部署名や費用科目など柔軟なカード名義設定が可能であり、利用先や限度額も自由に設定できます。使用用途としては、主にクラウドサービスや広告費などの非対面取引に適したカードです。パーチェシングカードは、もともとアメリカで発明されたカードで、1980年代に登場したと言われています。日本では、1990年代に三井住友カードがMastercardと提携してパーチェシングカードを導入。その後、日本でもパーチェシングカードの利用が広がり、2000年代には三菱UFJニコスやJCBなどもパーチェシングカードを発行するようになりました。2020年代に入ってからは、クラウドサービスや広告費などの非対面取引が増える中で、パーチェシングカードの需要が高まりつつあります。Visaの調査によると、2018年から2022年の間に、パーチェシングカードの発行は2.0倍になり、決済金額は2.3倍となったと予測しています
パーチェシングカードとコーポレートカード・ビジネスカードの違いは?
コーポレートカードやビジネスカードとは、物理的なカードを発行して使う法人向けクレジットカードのことです。コーポレートカードやビジネスカードを利用すると、経理業務の効率化や資金繰り対策などのメリットがあります。コーポレートカードやビジネスカードは、出張費や交際費など企業の経費全般に使われます。付帯サービスもあるため、施設の利用割引や空港ラウンジの利用など、ビジネス向けのサービスや特典が受けられる点がメリットです。コーポレートカードは20名以上の大手企業向けに発行されることが多く、発行できるカードの枚数が多いことが特徴です。ビジネスカードは20名以下の中小企業や個人事業主向けに発行されることが多く、発行できるカードの枚数が少ないことが特徴です。 パーチェシングカードとコーポレートカードやビジネスカードの違いは、以下のようになります。
項目 | パーチェシングカード | コーポレートカード・ビジネスカード |
カードの形態 | 物理的なカードを発行しない | 物理的なカードを発行する |
利用先 | 特定の加盟店に限定される | 一般的な加盟店で利用できる |
利用目的 | 購買活動専用 | 経費全般 |
カード名義 | 部署名や費用科目などで設定できる | 個人名や会社名で設定される |
利用限度額 | 高額な限度額を設定できる場合がある | 一般的な限度額を設定される |
付帯サービス | ほとんどない | 施設の利用割引や空港ラウンジの利用などがある |
発行対象 | 企業規模に関係なく発行できる | コーポレートカードは大手企業向け、ビジネスカードは中小企業や個人事業主向け |
パーチェシングカードを使うとどんなメリットがあるの?
パーチェシングカードには、以下のようなメリットがあります。
- 請求を一本化することで、業務効率やコスト削減に繋がる
パーチェシングカードでは、複数仕入先からの個別の請求書に対する支払いを、カード会社から月1回の請求書に対する支払いに一本化することが可能になります。これにより、請求書の管理や支払いの手間が大幅に削減。また、振込手数料や消費税調整額も節約できます。
- 担当変更による登録変更が不要で高額経費にも対応可能
パーチェシングカードは、部署名や費用科目などでカード名義を設定できるため、担当者が異動や退職した場合でも名義変更する必要がありません。また、部署単位や契約単位で複数枚のカード番号を発行できるため管理も容易です。 パーチェシングカードは、通常の法人カードよりも高額な限度額を設定できる場合があります。これは、パーチェシングカードが特定の加盟店でしか利用できないため、与信審査が緩和されることが理由です。これにより、広告費やクラウドサービスなどの高額な支払いにも対応できます。
- ガバナンス強化やセキュリティ強化にもつながる
パーチェシングカードは、利用先や限度額を設定できるため、不正利用や紛失・盗難のリスクが低減されます。また、カード番号は有効期限付きで発行されるため、不要になった場合は自動的に無効になります。これにより、カードの管理や停止手続きの手間が省略できます。 パーチェシングカードでは、利用明細がオンラインで確認できるため、支払いの透明性を高めることにも繋がります。また、会計ソフトとの連携も可能であり、仕訳作業や経費精算の効率化にも役立つカードです。
パーチェシングカードにもデメリットがある?
パーチェシングカードには、以下のようなデメリットがあります。
- 利用機会に制限があり、特典やポイント制度がない
パーチェシングカードは、特定の加盟店でしか利用できないため、利用機会に制限があります。また、パーチェシングカードは購買活動専用のカードであるため、特典やポイント制度などの付帯サービスはほとんどありません。これらの点は、通常の法人カードと比べて不便さを感じる場合があります。
- 導入にあたって必要な条件や注意点がある
パーチェシングカードを導入するには、一定の条件を満たす必要があります。例えば、以下のような条件です。
-
- 月間決済金額が一定額以上であること
- カード会社との契約期間が一定期間以上であること
- カード会社から与信審査を受けること
- カード会社から指定された加盟店以外では利用できないこと
- カード会社から提供されるオンラインシステムを利用すること また、パーチェシングカードを利用する際には、以下のような注意点があります。
- カード番号は有効期限付きであるため、定期的に更新する必要があること
- カード番号は複数枚発行できるが、それぞれ異なる番号であること
- カード番号は口頭やメールなどで伝えられる場合があるため、第三者に漏れないよう注意すること
パーチェシングカードを使っている企業は、主に以下のような特徴を持つ企業です。
- 購買業務が多く、請求書や支払いの管理が煩雑な企業
- クラウドサービスや広告費などの非対面取引が多い企業
- 高額な支払いが発生する企業
- 経費管理やガバナンス強化に取り組んでいる企業
具体的な例としては、以下のような企業がパーチェシングカードを利用しています。
- 海外IT企業などが多く、FacebookやGoogleなどの広告費 、AWSやMicrosoft Azure、Google CloudなどのクラウドITサービス、半導体などでの支払いが多いという。
- オンライン広告事業やロボットトランスフォーメーション事業を展開する株式会社セグメント。
- freeeやマネーフォワード、UPSIDER、LayerXなどのスタートアップ 。
パーチェシングカードで購買業務を効率化しよう!
パーチェシングカードは、購買業務に特化した法人カードです。小売業では、商品やサービスの仕入れや販売促進に関する購買業務を効率化するためにパーチェシングカードを利用することができます。パーチェシングカードは、請求書の一本化や担当変更の手間削減、不正利用や紛失・盗難のリスク低減などのメリットがあります。一方で、利用機会に制限があったり特典やポイント制度がなかったりするデメリットもあります。パーチェシングカードは、購買業務における決済手段として非常に便利ですが、導入する際には必要な条件や注意点を確認することが重要です。
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