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「人時生産性が高い店舗」と「売上が高い店舗」は同じなのか?

2026.09.16

利益を残す小売企業が見直す、店舗運営の構造

「今月の売上は予算105%。全社でもトップクラスだ」

それなのに、月次の損益計算書(P/L)を見ると、人件費率が高く、思ったほど利益が残っていない。

小売企業では、このような状況が起こることがあります。

その原因を考えるうえで重要なのが、売上高と人時生産性を分けて捉えることです。

売上が高い店舗が、必ずしも人を効率よく活用しているとは限りません。売上規模だけで店舗の生産性を判断すると、改善すべき課題を見落とす可能性があります。

 

1.売上高と人時生産性は、何が違うのか?

売上高は「どれだけ売れたか」、人時生産性は「投入した労働時間に対して、どれだけ成果を生んだか」を示す指標です。

指標 考え方 分かること
売上高 客数×客単価 店舗がどれだけ売上を上げたか
人時生産性 売上高または付加価値÷総投入人時 労働時間をどれだけ効率的に活用したか


※
人時生産性は、企業によって「売上高ベース」「粗利益・付加価値ベース」など定義が異なります。比較する際は、社内で指標を統一することが重要です。


人時生産性の基本的な計算方法

売上高ベースの人時生産性は、次の式で算出できます。

人時生産性 = 売上高 ÷ 総投入人時

例えば、月間売上高が1,000万円、総投入人時が2,500人時の場合、

1,000万円 ÷ 2,500人時 = 4,000円/人時

となります。

ただし、売上高ベースの人時生産性は、商品ごとの粗利益率や販売管理費などを反映していません。店舗の収益性を確認する際は、粗利益、人件費、営業利益などの指標と合わせて見ることが重要です。

なお、人時生産性の水準は、売上高ベースか粗利益・付加価値ベースかによって異なります。また、業態、商品構成、営業時間、店舗規模などによっても変動するため、一律の数値だけで店舗の健全性を判断することはできません。

自社の過去実績や店舗間比較を通じて、売上高・粗利益・人件費・総投入人時を継続的に確認することが重要です。

 

2店舗を比較すると、違いが分かる

例えば、次の2店舗を比較してみます。

A店:売上規模が大きい店舗 B店:効率を重視する店舗
売上高 2,000万円 800万円
総投入人時 5,000人時 1,500人時
売上高/人時 4,000円 約5,333円


A
店はB店の2.5倍の売上高を上げています。一方、1人時あたりの売上高では、B店がA店を上回っています。

もちろん、店舗の立地や商品構成、営業時間などによって単純比較はできません。それでも、売上規模が大きいことと、労働時間を効率的に活用していることは、必ずしも一致しないと分かります。

ただし、この数値だけでB店の方が利益を多く残しているとは判断できません。粗利益率、賃料、営業時間、設備費、販売管理費などによって、最終的な利益は変わります。

例えば、A店の方が粗利益率の高い商品を多く扱っている場合、売上高/人時ではB店を下回っていても、粗利益/人時ではA店が上回る可能性があります。

人時生産性は、店舗の収益性を判断するうえで重要な指標の一つですが、売上高だけでなく、粗利益、人件費、営業利益などと合わせて確認することが必要です。

売上高だけで店舗を評価していると、実は効率よく利益を生み出している店舗や、改善余地の大きい店舗を見落とす可能性があります。

 

2.売上が高い店舗でも、人時生産性が下がる3つの理由

売上が伸びているにもかかわらず、人件費率が改善しない場合、次のような課題が考えられます。


①
ピーク時間に合わせた人員配置

レジ待ちや混雑への対応を優先するあまり、ピーク時間に合わせた人員配置が、その前後の時間帯にも固定されていないでしょうか。

忙しい時間帯には必要でも、客数が落ち着いた後には余剰となる人時が発生している可能性があります。


②
閑散時間帯の業務設計が不十分

客数の少ない時間帯に、品出し、前出し、発注、清掃などの業務が適切に組み込まれていないと、労働時間を十分に活用できません。

重要なのは、単に人を減らすことではなく、時間帯ごとに必要な業務と人員を結び付けることです。


③
レジ業務の属人化・応援対応

レジトラブル、新人教育、急な欠勤、レジ応援などが頻発すると、店舗スタッフの時間が本来の業務から分断されます。

特に多店舗展開する企業では、店舗ごとの運用差や人員スキルのばらつきが、継続的な人時ロスにつながることがあります。

 

3.売上を追う店舗と、人時生産性を重視する店舗の違い

人時生産性を改善するには、売上だけでなく、どの業務に、どれだけの労働時間を投入しているかを見る必要があります。

評価項目 売上重視に偏った店舗 人時生産性を重視する店舗
シフト 経験や慣例をもとに固定化 客数・業務量・時間帯に応じて調整
レジ体制 応援や個人の経験に依存 業務手順と役割を標準化
閑散時間 人員配置と業務が連動していない 品出し・前出しなどを計画的に実施
店長の管理 店舗を回すことを優先 人時と業務量のバランスを管理
問題発生時 残業や応援で対応 原因を分析し、配置・業務を見直す


人時生産性の改善は、単純な人員削減ではありません。

必要な業務に必要な人員を配置し、無駄な待機時間や重複作業を減らすことが基本です。

 

4.人時生産性の改善で、レジ業務を見直す理由

店舗全体の人時生産性を改善するには、売場だけでなく、レジを含む各業務について、必要な人員と労働時間の使い方を確認することが重要です。

人時生産性を実際に見直していくと、レジ業務に投入している人時や、レジ応援・教育・欠勤対応などにかかる店舗スタッフの時間が、想定以上に大きな負担になっているケースがあります。

レジ業務は店舗運営に欠かせない一方で、時間帯による業務量の変動や、急な欠勤・応援対応、教育負担などが発生しやすい領域です。

そのため、自社運営を継続する場合でも、業務手順や配置を見直すことが有効です。さらに、店舗の状況によっては、レジ業務のアウトソーシング(業務委託)を選択肢として比較検討する方法もあります。

レジ業務では、次のような課題が発生することがあります。

  • 混雑時間帯と閑散時間帯で必要人員が異なる
  • 急な欠勤時に、店長や社員がレジ応援に入る
  • 新人教育や習熟度の差が、業務効率に影響する
  • 店舗ごとにレジ運用や管理方法が異なる
  • レジ業務のために、売場業務の時間が削られる

こうした課題に対しては、シフトの見直しや業務標準化に加え、レジ業務のアウトソーシング(業務委託)を選択肢として検討する方法もあります。

レジ業務を外部化することで期待できること

レジ業務を専門会社に委託することで、業務範囲や運営体制を整理し、自社スタッフの役割を見直せる可能性があります。

見直しの視点 期待できる効果
レジ業務の運営 業務手順・責任範囲の明確化
シフト管理 レジ業務に必要な人員配置の最適化
店長・社員の負担 レジ応援や教育対応の負担軽減
売場業務 品出し・売場改善などへの時間配分
多店舗運営 店舗ごとの運用差や管理負担の見直し

ただし、委託すれば必ず人件費が下がるわけではありません。

委託費だけでなく、自社スタッフの人件費、管理工数、採用・教育負担、売場業務への影響まで含めて比較することが重要です。

このような課題がある企業は、レジ運営の見直しを検討する価値があります

  • 店長や社員が頻繁にレジ応援に入っている
  • レジ担当者の採用や教育に負担がかかっている
  • 急な欠勤のたびにシフト調整が必要になる
  • 店舗ごとにレジ運営の方法が異なっている
  • レジ業務の管理に、本部・店舗双方の工数がかかっている
  • レジ対応によって、売場業務に十分な時間を確保できない
  • レジ部門の人件費や投入人時を把握しきれていない

こうした状況がある場合、「人を減らせるか」だけではなく、「店舗スタッフの時間をどの業務に振り向けるべきか」という視点から、レジ運営を見直すことが重要です。

 

5.まとめ|売上だけでなく「人時の使い方」を見直す

売上高は、店舗の規模や販売力を示す重要な指標です。

一方で、利益を残すためには、売上を生み出すために、どれだけの労働時間を投入しているかを把握する必要があります。

人時生産性を改善する際は、次の順番で課題を整理すると効果的です。

  • 店舗ごとの売上高・粗利益・人件費・総投入人時を把握する
  • 時間帯別の客数と人員配置を比較する
  • レジ応援・教育・欠勤対応などの人時ロスを確認する
  • シフト・業務手順・役割分担を見直す
  • 必要に応じて、レジ業務のアウトソーシングを比較検討する

人時生産性は、単に人員を減らすための指標ではありません。必要な業務に適切な人員を配置し、労働時間を有効に活用することで、店舗運営の効率化や利益改善につなげるための指標です。

「売上はあるのに利益が残らない」という課題に対しては、売上を増やすだけでなく、人時の使い方や業務の分担を見直すことが、改善の糸口になるかもしれません。

レジ業務の運営方法を見直してみませんか?

「レジ業務の人員確保が難しい」

「店長や社員がレジ応援に入る時間が多い」

「店舗ごとにレジ運営の方法が異なる」

「レジ業務にかかる人件費や管理負担を見直したい」

このような課題を感じている場合、レジ業務そのものの運営方法を見直すことで、店舗スタッフの業務負担や人時の使い方を改善できる可能性があります。

株式会社エムアンドアールでは、現在のレジ運営体制や人員配置、管理負担などを整理したうえで、自社運営を継続する場合と業務委託する場合の比較検討についてご相談いただけます。

まだ業務委託を決めていない段階でも構いません。

「自社運営と委託のどちらが適しているのか知りたい」「現在のレジ運営にどの程度の改善余地があるのか確認したい」といったご相談も歓迎しています。


<無料相談はこちら>

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主な支援先

国内の大手・中堅スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、百貨店内小売店、アパレルショップなど

 

執筆者

株式会社エムアンドアール マーケティング戦略課 主任 H・O

<プロフィール>

小売業で30年のキャリアを持ち、エリアマネージャーとして多数の店舗管理を主導。経営会議への参画や全社的な販売計画書の策定を通じて、店舗現場から経営戦略まで幅広く経験。現在は小売業界に特化した人材ソリューション事業にて、店舗運営支援や人件費・採用適正化の分析・情報発信を担当。現場視点と経営視点を融合させた情報発信を行っている。

監修者

株式会社エムアンドアール マーケティング戦略課 Y・M

<プロフィール>

小売業界歴20年|店舗運営・人材育成の現場エキスパート

小売業界で20年にわたり、店長・ブロック長・エリア長・教育担当として、店舗運営と人材育成に携わってきました。

新店立ち上げ時のスタッフ教育、既存店スタッフの接客・CS教育、新入社員研修など、店舗現場における人材育成を幅広く経験。全国約300店舗を対象としたCS施策や臨店指導、8店舗のエリア統括にも携わりました。

ドラッグストアでは、人事部の教育担当として中途採用社員や新店従業員の教育を担当するとともに、店長として従業員管理・予算管理も経験しています。

保有資格・免許

  • 中学校教諭一種免許状(国語)
  • 高等学校教諭一種免許状(国語)
  • 医薬品登録販売者
  • 食品衛生責任者
  • 酒類販売管理者
  • レクリエーション介護士2級

編集ポリシー

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記事は、小売業およびレジ運営に関する実務経験や当社の知見をもとに、読者の皆様の問題解決や業務改善に役立つ情報の提供を目的として作成しています。

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なお、記事の内容は一般的な情報提供を目的にしたものであり、個別の企業・店舗における成果を保証するものではありません。

運営会社:株式会社エムアンドアール

編集担当:マーケティング戦略課

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